「一見恣意的に思われる創造という行為も、実は無神論者が語る運命と同じく、不変の法則を前提としている。創造主がそのような法則なしに世界を支配することができるというのは、全くの不条理である。なぜなら、法則なしには世界は存続し得ないからである」

- 1689年1月18日~1755年2月10日
- フランス王国出身
- 哲学者、法学者、政治思想家
- 『法の精神』において三権分立を提唱し、近代憲法や民主主義理論に大きな影響を与えた。啓蒙時代を代表する思想家として、自由と法の支配の重要性を説いた。
英文
“Thus the creation, which seems an arbitrary act, supposes laws as invariable as those of the fatality of the Atheists. It would be absurd to say that the Creator might govern the world without those rules, since without them it could not subsist.”
日本語訳
「一見恣意的に思われる創造という行為も、実は無神論者が語る運命と同じく、不変の法則を前提としている。創造主がそのような法則なしに世界を支配することができるというのは、全くの不条理である。なぜなら、法則なしには世界は存続し得ないからである」
解説
この名言は、世界の創造と運行が、理性と法則に基づく秩序によって成り立っているというモンテスキューの自然哲学的立場を示している。彼は、神による創造は気まぐれなものではなく、一定の法則性と秩序の上に築かれているという信念に立っており、そうでなければ宇宙も社会も持続できないと考えた。これは、啓蒙時代の自然法思想と深く結びついている。
特筆すべきは、彼が「神の法則」と「無神論者の運命論」の類似性に触れ、両者に共通するのは「変わらぬ法則」であるという点を指摘していることである。つまり、神を前提とするにせよ否定するにせよ、世界の仕組みは理性によって説明できる枠組みに置かれているという合理主義的視座が表れている。そして、もし神が法則に従わずして世界を統治しようとすれば、それはもはや創造ではなく混沌となり、世界は崩壊するという強い論理的帰結を導いている。
現代においてもこの名言は、科学・自然・宗教・秩序という複雑な関係を考察するうえで重要な指針を与えてくれる。信仰においても理性と秩序の必要性を強調するこの発想は、宗教と科学を対立ではなく調和させる橋渡しにもなりうる。創造が秩序である限り、神は理性と共にあり、世界はその理法によって支えられている――この名言には、モンテスキューの深い信仰と合理の融合が息づいている。
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