「もし三角形が神をつくるとしたら、その神には三つの辺を与えるだろう」

- 1689年1月18日~1755年2月10日
- フランス王国出身
- 哲学者、法学者、政治思想家
- 『法の精神』において三権分立を提唱し、近代憲法や民主主義理論に大きな影響を与えた。啓蒙時代を代表する思想家として、自由と法の支配の重要性を説いた。
英文
“If the triangles made a god, they would give him three sides.”
日本語訳
「もし三角形が神をつくるとしたら、その神には三つの辺を与えるだろう」
解説
この名言は、神や絶対的存在の観念が、人間や集団の主観的な構造に依存して形成されるという皮肉で深い認識を表している。モンテスキューはここで、信仰や宗教的イメージは普遍的な真理ではなく、創造者の属性や限界に基づいて投影されることを風刺的に示している。三角形が神を想像するなら、自らと同じ三辺の形を与える、という例えは、神の観念がしばしば人間中心的に構築されることへの批判でもある。
この思想は、18世紀の啓蒙思想の潮流――とくに理性による宗教批判や、信仰の社会的・心理的背景の分析に連なっている。モンテスキューは、宗教そのものを否定するのではなく、それがいかに人間の文化や思考様式によって規定されるかに注目していた。この名言は、信仰が客観的であると信じられているときこそ、それが主観的構造によって形成されている可能性に目を向けよという哲学的な呼びかけでもある。
現代においても、宗教・イデオロギー・価値観が個人や集団の枠組みを越えて真理として語られるとき、この名言は「誰がその神を描いているのか」「なぜその形なのか」という問いを突きつける。あらゆる絶対の背後にある相対性を見抜く冷静な視点こそ、啓蒙の知性の本質である。
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