「立法権と執行権が同一の人物、または同一の官僚団体に集中するとき、そこに自由は存在しえない。なぜなら、その君主や元老院が専制的な法律を制定し、それを専制的に執行するのではないかという恐れが生じるからである」

- 1689年1月18日~1755年2月10日
- フランス王国出身
- 哲学者、法学者、政治思想家
- 『法の精神』において三権分立を提唱し、近代憲法や民主主義理論に大きな影響を与えた。啓蒙時代を代表する思想家として、自由と法の支配の重要性を説いた。
英文
“When the legislative and executive powers are united in the same person, or in the same body of magistrates, there can be no liberty; because apprehensions may arise, lest the same monarch or senate should enact tyrannical laws, to execute them in a tyrannical manner.”
日本語訳
「立法権と執行権が同一の人物、または同一の官僚団体に集中するとき、そこに自由は存在しえない。なぜなら、その君主や元老院が専制的な法律を制定し、それを専制的に執行するのではないかという恐れが生じるからである」
解説
この名言は、モンテスキューの政治哲学における中心概念――権力分立の原理――を明快に表現したものである。彼は、自由の保障とは、権力が一手に集中することを防ぐ構造によって初めて可能になると考えた。立法(法を定める)と執行(法を適用・実行する)が同じ主体にある場合、権力の暴走を制限する仕組みが存在しなくなるため、専制の温床となる。
この思想は『法の精神』において最も有名な部分の一つであり、後のアメリカ合衆国憲法やフランス革命後の憲法に多大な影響を与えた。モンテスキューは、権力とは常に濫用の危険を孕むものであり、それを制限するには権力を互いに抑制し合う構造が必要だと考えた。すなわち、立法・行政・司法の三権が分立し、独立して機能することによって初めて、個人の自由が守られるのである。
現代でも、権力の集中とそれに伴う自由の制限は民主主義国家においても深刻な問題となることがある。この名言は、制度的な均衡こそが市民の自由を守る盾であり、自由は理念ではなく構造によって保障されるという啓蒙的かつ実践的なメッセージを伝えている。自由の条件は、権力が権力を制限することである。
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