「作家とは、共に生きた人々を退屈させただけでは飽き足らず、後の世代までも苦しめようとする愚か者である」

シャルル・ド・モンテスキューの名言
シャルル・ド・モンテスキューの名言
  • 1689年1月18日~1755年2月10日
  • フランス王国出身
  • 哲学者、法学者、政治思想家
  • 『法の精神』において三権分立を提唱し、近代憲法や民主主義理論に大きな影響を与えた。啓蒙時代を代表する思想家として、自由と法の支配の重要性を説いた。

英文

“Author: A fool who, not content with having bored those who have lived with him, insists on tormenting generations to come.”

日本語訳

「作家とは、共に生きた人々を退屈させただけでは飽き足らず、後の世代までも苦しめようとする愚か者である」

解説

この名言は、作家という存在を、自己中心的で自己陶酔的な人物として皮肉たっぷりに描き出している。モンテスキューは、他人の関心や感受性を顧みず、自らの考えや物語を永遠に残そうとする姿勢に対して、一種の知的傲慢さを見ていた。この表現には、知識や思想を後世に伝えるという行為が、常に価値あるものであるとは限らず、時に退屈で迷惑にもなりうるという逆説的な認識が込められている

この言葉は、18世紀の啓蒙時代における知識の氾濫と出版文化の拡大に対する批判的まなざしとも重なる。当時、多くの思想家や作家が知識を誇示し、読者を教化しようとする中で、モンテスキューは書くという行為そのものの意義と影響を、自己風刺も込めて問い直していた。この名言は、著述の責任と謙虚さを説くメタ的な批評であり、表現の自由が無制限であってはならないという倫理的視点をも含んでいる

現代においても、情報の発信がかつてないほど容易になった社会では、「語ること」と「伝えること」の違いが改めて問われている。この名言は、自らの表現が真に価値あるものであるか、他者や未来に何をもたらすのかという省察を、すべての表現者に促す鋭い警句である。書くことは自由であると同時に、重い責任でもある

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