「社会の黎明期においては、国家の指導者が制度を形づくるが、後にはその制度が指導者を形づくるようになる」

- 1689年1月18日~1755年2月10日
- フランス王国出身
- 哲学者、法学者、政治思想家
- 『法の精神』において三権分立を提唱し、近代憲法や民主主義理論に大きな影響を与えた。啓蒙時代を代表する思想家として、自由と法の支配の重要性を説いた。
英文
“In the infancy of societies, the chiefs of state shape its institutions; later the institutions shape the chiefs of state.”
日本語訳
「社会の黎明期においては、国家の指導者が制度を形づくるが、後にはその制度が指導者を形づくるようになる」
解説
この名言は、政治制度と権力者との相互関係が、時代によって変化するという歴史的かつ政治哲学的洞察を示している。モンテスキューは、社会の初期段階ではリーダーの意思や個性が制度を決定づける主因となるが、制度が一度確立されると、それが次世代の指導者の行動や性格を規定する枠組みとなっていくと述べている。制度と個人の力関係が時間の中で逆転することを示すこの言葉は、統治の本質を考えるうえで極めて示唆に富んでいる。
『法の精神』においてモンテスキューは、制度は文化・風土・歴史などの文脈に根差し、偶発的ではなく徐々に形成されていくものであると論じている。最初は強いリーダーシップが制度設計に大きな影響を与えるが、その制度が一度社会に根づけば、制度が次の指導者の行動範囲や選択肢を制限し、彼らの性格や思想をも形成していくという構造的な視点がここにある。
現代においても、憲法や議会制度、政党制などが確立された国家では、新たな指導者の資質や行動が、制度的慣習や規範によって大きく左右される。この名言は、権力者が制度を作るという視点だけでなく、制度が権力者をどのように制御し、形成するかという双方向的理解の重要性を説く。統治の安定と公正さは、個人の力ではなく、制度の成熟にかかっているという、普遍的な原理を表している。
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