「この世界に見られるさまざまな現象が盲目的な運命によって生じたと主張する者は、きわめて不合理なことを言っている。知性ある存在を、盲目的な運命が生み出したなどと考えるほど不合理なことがあるだろうか?」

- 1689年1月18日~1755年2月10日
- フランス王国出身
- 哲学者、法学者、政治思想家
- 『法の精神』において三権分立を提唱し、近代憲法や民主主義理論に大きな影響を与えた。啓蒙時代を代表する思想家として、自由と法の支配の重要性を説いた。
英文
“They who assert that a blind fatality produced the various effects we behold in this world talk very absurdly; for can anything be more unreasonable than to pretend that a blind fatality could be productive of intelligent beings?”
日本語訳
「この世界に見られるさまざまな現象が盲目的な運命によって生じたと主張する者は、きわめて不合理なことを言っている。知性ある存在を、盲目的な運命が生み出したなどと考えるほど不合理なことがあるだろうか?」
解説
この名言は、自然界や人間の知性の存在が、単なる偶然や盲目的な運命によって説明できるものではないという、理性主義的な反論を表している。モンテスキューは、宇宙や生命の秩序が存在するという事実そのものが、背後にある理性や意図、あるいは創造の原理を前提としていると考えた。盲目的な運命(blind fatality)という非合理な力が、合理的な存在である人間の知性を生み出すという主張は、論理に反するというのが彼の主張である。
この思想は、18世紀啓蒙時代に広がった自然法や理性に基づく世界観の一端を成している。当時、多くの思想家が、宗教的宿命論や運命論とは異なる形で、世界の構造を理性や法則性によって理解しようとした。モンテスキューもその中で、知性ある秩序の背後には、必ず何らかの理性的原理が存在するという立場をとっていた。
現代においては、科学の発展により進化論や確率論が広く受け入れられているが、それでもなお「秩序の起源」や「意識の存在」をめぐる哲学的な問いは根強く残っている。この名言は、知性ある存在が偶然の産物ではなく、何らかの意図または理性的な構造に基づくものだという、古典的ながら今なお議論の余地を残す見解を示している。それは信仰の擁護であると同時に、理性の尊重でもある。
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