「我々は豊かな国に生まれたが、その国の境界が我々の知を制限すべきだとは考えず、東方の学問だけが我々を啓発するべきだとも信じなかった」

- 1689年1月18日~1755年2月10日
- フランス王国出身
- 哲学者、法学者、政治思想家
- 『法の精神』において三権分立を提唱し、近代憲法や民主主義理論に大きな影響を与えた。啓蒙時代を代表する思想家として、自由と法の支配の重要性を説いた。
英文
“Although born in a prosperous realm, we did not believe that its boundaries should limit our knowledge, and that the lore of the East should alone enlighten us.”
日本語訳
「我々は豊かな国に生まれたが、その国の境界が我々の知を制限すべきだとは考えず、東方の学問だけが我々を啓発するべきだとも信じなかった」
解説
この名言は、知識や啓蒙の探求において、国や文化の境界にとらわれてはならないという普遍主義的な立場を示している。モンテスキューは、生まれ育った社会の豊かさに甘んじることなく、他文明の思想や知見にも積極的に学ぶ姿勢を持つべきだと主張した。ここでの「東方の学問」は、しばしば権威ある古典や伝統知を象徴し、それのみに依存する知のあり方を戒めている。
この考え方は、モンテスキューの比較文化的アプローチや法制度の多様性に対する関心とも一致する。彼は『法の精神』において、各国の政治・法制度が風土・慣習・歴史に根ざしていることを強調し、一国の価値観を絶対化せず、異文化の制度や思想にも学ぶべきだという国際的視座を持っていた。この名言は、視野の狭い愛国主義や知的閉鎖を退ける啓蒙思想の根幹である。
現代でも、グローバルな課題に対処するには、多様な知識や経験を越境的に結びつける力が不可欠である。この名言は、出自や伝統に安住せず、広く世界に目を向ける知的姿勢こそが真の進歩をもたらすという重要なメッセージを伝えている。文化的な謙虚さと開かれた知の探究こそが、個人にも社会にも未来を開くのである。
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