「白人たちはただ、奴隷が自由になるのを望んでいない。それがすべてなんだ」

- 1942年1月17日~2016年6月3日
- アメリカ合衆国出身
- プロボクサー、社会運動家、人道主義者
- ヘビー級チャンピオンとして活躍し、「蝶のように舞い、蜂のように刺す」の名言で知られる。リング外でも公民権運動や反戦活動に関わり、スポーツと社会正義の両面で世界的な影響を与えた。
英文
”White people just don’t want their slaves to be free. That’s the whole thing.”
日本語訳
「白人たちはただ、奴隷が自由になるのを望んでいない。それがすべてなんだ」
解説
この言葉は、モハメド・アリがアメリカ社会に根深く残る人種的不平等と支配構造を鋭く批判した名言である。ここでいう「奴隷」とは、実際の奴隷制度というよりも、制度的に抑圧され、教育・経済・政治において自由を奪われた黒人たちの状況を指している。アリはこの発言を通じて、表面的な自由ではなく、真の解放――すなわち精神的・社会的・経済的な独立がいまだ妨げられていることを訴えている。
この名言は、彼の所属していたネイション・オブ・イスラムの思想的立場とも強く関わっており、白人支配への構造的な抵抗を唱えるブラック・ナショナリズムの一環として語られたものである。アリは、スポーツ界という最も注目を集める舞台に立ちながらも、自らの影響力を使って社会的不正義に声を上げることを選んだ。その姿勢がこの率直かつ挑発的な発言に象徴されている。
現代においてこの名言を受け止めるには、歴史的文脈と、アリが発言した時代背景――1960~70年代のアメリカにおける公民権運動と制度的人種差別の実情――を理解することが不可欠である。アリのこの言葉は、怒りと失望をともなった叫びであり、真の自由とは何かを根本から問い直す、闘う人間の魂のこもった名言である。
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