「ジョー・フレージャーのほうが俺よりたくさんパンチを食らってるのに、あいつはパーキンソン病になってないんだ」
- 1942年1月17日～2016年6月3日
- アメリカ合衆国出身
- プロボクサー、社会運動家、人道主義者
- ヘビー級チャンピオンとして活躍し、「蝶のように舞い、蜂のように刺す」の名言で知られる。リング外でも公民権運動や反戦活動に関わり、スポーツと社会正義の両面で世界的な影響を与えた。
英文
”Joe Frazier got hit more than me – and he doesn’t have Parkinson’s.”
日本語訳
「ジョー・フレージャーのほうが俺よりたくさんパンチを食らってるのに、あいつはパーキンソン病になってないんだ」
解説
この言葉は、モハメド・アリが自身のパーキンソン病について語った中での、複雑なユーモアと皮肉を交えた発言である。彼は長年のボクシングキャリアの果てに神経疾患を患ったが、それをただ悲劇として語るのではなく、ライバルであるジョー・フレージャーとの比較を通じて、運命の不条理を軽妙に受け止めようとした。この名言には、アリ特有の逆境の中でも笑いを忘れない強さが表れている。
アリとフレージャーは激しいライバル関係にあり、三度の名勝負を繰り広げた。その中でもお互いが極限まで打ち合う壮絶な戦いであったことは有名であり、「フレージャーの方がパンチを多く受けたはずだ」という皮肉は、ある種の誇張と同時に、運命の皮肉に対する哲学的な諦観が込められている。また、自身の病気を人々の同情の対象ではなく、ユーモアによって受け入れる姿勢こそがアリの真骨頂である。
現代においても、重い病や障害に直面する人々にとって、このような発言は、悲観だけでなく希望や誇りを持って生きる姿勢を示すものとして重要な意味を持つ。アリは、病とともに生きながらも人々を励まし続けた存在であり、この名言もまた「痛みや不公平を笑い飛ばすことで乗り越える」という、彼の精神的強さを象徴する一節である。
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