「地質学者にはこういう言葉がある――岩は記憶している」

- 1930年8月5日~2012年8月25日
- アメリカ合衆国出身
- 宇宙飛行士、航空技術者、海軍パイロット、大学教授
- アポロ11号の船長として人類初の月面着陸を果たし、「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」の言葉と共に歴史に名を刻んだ。20世紀の宇宙探査の象徴的人物である。
英文
”Geologists have a saying – rocks remember.”
日本語訳
「地質学者にはこういう言葉がある――岩は記憶している」
解説
この短い言葉は、地質学における岩石の持つ時間的記憶の概念を端的に表現している。ニール・アームストロングがこの言葉を引用した背景には、アポロ計画での月面探査において採取した月の岩石が、月の地質史や太陽系の形成過程を知る手がかりとなるという認識がある。ここで言う「記憶」とは、化石のような直接的記録ではなく、岩石に刻まれた化学的・物理的痕跡を通じて過去の出来事を読み解くことができるという意味である。
アームストロングは、アポロ11号で持ち帰った月の岩石を「最も重要な科学的成果の一つ」として繰り返し語っており、月の地殻に含まれる鉱物やその構造から、地球とは異なる歴史や地質活動の有無が読み取れることに強い関心を抱いていた。この言葉は、彼の技術者的、そして探究者的な視点を象徴していると同時に、自然科学における「物質が語る歴史」という思想を体現している。
現代においても、岩石の年代測定や構造解析は、地球の気候変動や地殻変動の長期的な記録を明らかにする手段として不可欠である。この名言は、目に見えない時間の流れを物質が記録しているという、科学の美しさと奥深さを静かに示す。科学者にとって、岩はただの無機物ではなく、何十億年にもわたる宇宙と地球の物語を内包する「語り手」なのである。
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