「私は宇宙機関の政策の方向性について非常に懸念している。アメリカでは、ホワイトハウスと議会が今後の方向性をめぐって対立している状況にあり、両者はまるでゲームをしているかのように、NASAを羽根突きの羽根のように打ち合っているのだ」

- 1930年8月5日~2012年8月25日
- アメリカ合衆国出身
- 宇宙飛行士、航空技術者、海軍パイロット、大学教授
英文
”I’m substantially concerned about the policy directions of the space agency. We have a situation in the U.S. where the White House and Congress are at odds over what the future direction should be. They’re sort of playing a game and NASA is the shuttlecock that they’re hitting back and forth.”
日本語訳
「私は宇宙機関の政策の方向性について非常に懸念している。アメリカでは、ホワイトハウスと議会が今後の方向性をめぐって対立している状況にあり、両者はまるでゲームをしているかのように、NASAを羽根突きの羽根のように打ち合っているのだ」
解説
この発言は、宇宙開発を政治的な対立の中に巻き込まれている現状に対するニール・アームストロングの深い憂慮を表している。彼は、アメリカの宇宙政策が本来あるべき科学的・探査的な目的ではなく、政争の道具として扱われていることに強い警鐘を鳴らしている。「NASAが羽根突きの羽根のようにされている」という比喩は、国家の科学機関が自らの意志ではなく、政治力学に翻弄される受け身の存在になってしまっていることへの皮肉を込めた描写である。
背景には、2010年代初頭のオバマ政権下におけるNASAの将来構想、特に有人火星探査計画やスペースシャトル後の体制に関する激しい議論がある。アームストロングは、アポロ時代の経験を通して、国家的な一貫性とリーダーシップが宇宙開発の成功に不可欠であることを熟知しており、その観点から政策の混乱に懸念を表明していた。
現代においても、科学技術政策が政争の影響を受けることのリスクは世界各国で共通する問題である。この名言は、宇宙機関や研究機関が本来の使命を果たすためには、政治的安定性と長期的視野が不可欠であるという普遍的な教訓を伝えている。アームストロングのこの言葉は、技術革新を支える基盤としての政策環境の重要性を鋭く指摘するものである。
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