「ある地点から北へ向かって旅する者にとっては、日々の回転の極が徐々に高く昇り、反対の極は同じだけ低く沈んでいく」

- 1473年2月19日~1543年5月24日
- ポーランド王国出身
- 天文学者、数学者、聖職者
- 地動説(太陽中心説)を提唱し、天動説を覆すことで近代天文学の扉を開いた。代表作『天球の回転について』は科学革命の起点とされ、宇宙観に根本的な転換をもたらした。
英文
”For a traveler going from any place toward the north, that pole of the daily rotation gradually climbs higher, while the opposite pole drops down an equal amount.”
日本語訳
「ある地点から北へ向かって旅する者にとっては、日々の回転の極が徐々に高く昇り、反対の極は同じだけ低く沈んでいく」
解説
この言葉は、地球が球体であることとその自転による天体の見え方の変化を観測的に説明した一節である。コペルニクスは、旅人が北へ進むと北極星の高度が徐々に高くなること、すなわち天球の北極が上昇するように見えるという現象に注目し、地球の表面が平坦ではなく曲面であることを論じている。また、同時に南の極が等しく沈むことで、対称的な回転軸の存在を暗示している。
この記述には、観測データをもとに地球の構造や運動を解釈しようとする科学的態度が表れている。当時の世界観においては、地球が静止しているという信仰が根強く残っていたが、コペルニクスは旅人の経験という日常的な事実を理論的裏付けとして活用し、球体かつ自転する地球という視点を支持した。これは、自然観察を基礎とした理論構築の典型例である。
現代の視点から見ても、これは緯度の変化による星の高度の違いという基本的な天文現象の認識であり、航海術や地理測量の発展においても極めて重要な知見であった。コペルニクスのこの言葉は、人間の移動と観測がどのようにして宇宙観の転換に寄与したかを物語るものであり、科学的理解が体験と結びついて進化するという普遍的な構造を示している。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?