「完全数が稀であるように、完全な人間もまた非常に稀である」

- 1596年3月31日~1650年2月11日
- フランス出身
- 哲学者、数学者、自然科学者
- 近代哲学の父とされ、「我思う、ゆえに我あり」の命題で知られる。合理主義を基礎とする思索と、解析幾何学の創始によって、哲学と数学の両面で大きな功績を残した。
英文
”Perfect numbers like perfect men are very rare.”
日本語訳
「完全数が稀であるように、完全な人間もまた非常に稀である」
解説
この名言は、数学的概念と人間性を重ね合わせて語るデカルトらしい比喩的表現である。完全数とは、その数自身を除いた約数の和がその数に等しくなる自然数を指し、古代ギリシアの時代から神秘的な意味を持っていた。たとえば6(1+2+3=6)や28(1+2+4+7+14=28)がその例であり、数学的にも極めて稀である。この名言は、そうした完全数のように、欠点のない「完全な人間」もまた滅多に存在しないという皮肉と洞察を含んでいる。
デカルトは理性と秩序を重んじる哲学者であったが、人間という存在が理性によって完全に制御され得るものではないという現実も認識していた。この言葉には、完全性を理想としつつも、それが極めて到達困難であることを冷静に見つめる姿勢が現れている。すべてを疑い、明晰な思考を重ねた果てに、人間の不完全さそのものを受け入れる知性がここには見て取れる。
現代においても、「完璧な人間」像を追い求めるあまり、自己否定や他者への過剰な期待に苦しむ人々は少なくない。この名言は、数学的な稀少性を通じて、「完全」であることの幻想をやんわりと解きほぐし、むしろ人間の不完全さに対する寛容を促している。デカルトの冷静な観察眼と人間理解がにじむ、哲学的ユーモアを含んだ一言である。
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