「どれほど奇妙で信じがたいことであっても、すでに誰かの哲学者が語っていないものはない」

ルネ・デカルトの名言
ルネ・デカルトの名言
  • 1596年3月31日~1650年2月11日
  • フランス出身
  • 哲学者、数学者、自然科学者
  • 近代哲学の父とされ、「我思う、ゆえに我あり」の命題で知られる。合理主義を基礎とする思索と、解析幾何学の創始によって、哲学と数学の両面で大きな功績を残した。

英文

”One cannot conceive anything so strange and so implausible that it has not already been said by one philosopher or another.”

日本語訳

「どれほど奇妙で信じがたいことであっても、すでに誰かの哲学者が語っていないものはない」

解説

この名言は、哲学の歴史における多様性と大胆さを風刺的に捉えている。デカルトは、自らが合理主義の立場に立ちながらも、過去の哲学がいかに奇抜で矛盾に満ちた見解に満ちていたかを観察していた。人間の思考は極めて自由であるがゆえに、理性を欠いた主張さえも哲学として語られてきたという皮肉な事実を示唆している。

17世紀の学問世界は、アリストテレス以来の権威的な学説が支配していた一方で、新たな自然哲学や合理的思考が台頭しつつある過渡期であった。デカルトは、伝統的な哲学をすべて信頼するのではなく、一度それらを疑い、理性によって整理・再構築する必要性を感じていた。この言葉は、哲学がいかに多様な仮説に満ちているかを認めたうえで、それらを無批判に受け入れることの危険性を警告している

現代においても、哲学的な主張や思想は無限に近いほど多様であり、相反する見解が同時に存在し得る。この状況下で重要なのは、どの考えを採るかではなく、それをいかに吟味し、根拠をもって受け入れるかという知的態度である。この名言は、思考の自由と懐疑の必要性をともに指摘する、デカルトらしい理性への信頼の表明である。

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