「祈りの役割は神に影響を与えることではなく、祈る者の本性を変えることにある」

- 1813年5月5日~1855年11月11日
- デンマーク出身
- 哲学者、神学者、作家
- 実存主義哲学の先駆者として知られ、「主体的真理」や「信仰の飛躍」といった概念を提唱。個人の内面的な葛藤と信仰の問題を深く掘り下げ、近代思想に大きな影響を与えた。
英文
“The function of prayer is not to influence God, but rather to change the nature of the one who prays.”
日本語訳
「祈りの役割は神に影響を与えることではなく、祈る者の本性を変えることにある」
解説
この言葉は、祈りの本質を外的な願望の実現ではなく、内的な自己変革に見出すキェルケゴールの深い宗教的洞察を表している。一般的には、祈りは神に何かを求める手段と考えられがちであるが、彼はそれを否定し、むしろ祈るという行為を通じて自己が変えられる過程こそが祈りの核心であると説いている。
キェルケゴールにとって、神は人間の欲望に応じて動く存在ではなく、人間が自己の内面を神の前にさらし、誠実に向き合うことで、初めて真の自己へと近づくことができる絶対者である。祈りとはその神の前に立ち、自らの欲望、恐れ、弱さを見つめ直す実存的な対話であり、その中でこそ人は謙虚さ、忍耐、信頼といった霊的資質を培うことができる。
現代においても、祈りはしばしば「願い事」や「問題解決の手段」として利用されがちであるが、この名言はそれに対し、祈りとは外の世界を変えるのではなく、自己の内なる姿勢を変える営みであることを思い出させてくれる。本当の祈りは、神の意志を曲げるものではなく、自分の心を整え、神の意志に自らを重ね合わせる道であり、その変化こそが祈りの本質なのである。
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