「暴君が死ねば、その支配は終わる。だが、殉教者が死ねば、その支配は始まる」

- 1813年5月5日~1855年11月11日
- デンマーク出身
- 哲学者、神学者、作家
- 実存主義哲学の先駆者として知られ、「主体的真理」や「信仰の飛躍」といった概念を提唱。個人の内面的な葛藤と信仰の問題を深く掘り下げ、近代思想に大きな影響を与えた。
英文
“The tyrant dies and his rule is over, the martyr dies and his rule begins.”
日本語訳
「暴君が死ねば、その支配は終わる。だが、殉教者が死ねば、その支配は始まる」
解説
この言葉は、権力と信念の本質的違いを鋭く対比している。暴君は力によって他者を支配するが、その力は彼の命とともに消える。一方、殉教者は信念のために命を捧げることで、死後においても人々の心に影響を与え続ける存在となる。つまり、肉体の死を超えて続く精神的な支配・影響力の始まりが、殉教者にはあるのだ。
キェルケゴールの実存主義において、真理や信仰に命を賭けるという主体的選択は、歴史や社会において一時的には理解されずとも、永続的な意味と影響を持つ。殉教者は、その存在によって他者に問いを投げかけ、模範を示し、内面からの変革を促す力を持つ。これは、外的強制に頼る暴君の権力とは本質的に異なる、倫理的・霊的な支配である。
現代においても、政治的・宗教的指導者や活動家などが信念のために命を賭けたとき、その生き様は死後もなお社会に影響を及ぼし続ける。この名言は、「力による支配は一時的、信念による支配は永続的」という歴史的真理を簡潔に示しており、本当に支配するとはどういうことかを深く問い直す契機となっている。殉教者の力とは、自己犠牲によって真理を生きた者の証言そのものである。
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