「詩はあらゆる場所に満ちている。だが、それを紙に書き留めるのは、見ることほどたやすくはないのだ」

- 1853年3月30日~1890年7月29日
- オランダ出身
- 画家、素描家
- ポスト印象派を代表する画家として知られ、生前は無名であったが、死後に評価が高まり、近代絵画に多大な影響を与えた。『ひまわり』や『星月夜』などの作品で世界的に知られている。
英文
”Poetry surrounds us everywhere, but putting it on paper is, alas, not so easy as looking at it.”
日本語訳
「詩はあらゆる場所に満ちている。だが、それを紙に書き留めるのは、見ることほどたやすくはないのだ」
解説
この言葉は、日常や自然の中に存在する美や感動――すなわち「詩」――を、実際に表現する難しさを語っている。世界は詩的な瞬間にあふれているが、その豊かさを言葉や形にするには高度な感受性と技術が求められる。見ることは誰にでもできるが、見たものを本質まで掘り下げ、他者に伝わる形で再構築することは、創造的な苦闘を伴う作業なのである。
この実感は、視覚芸術の世界において詩的な情景を描き出そうとしたゴッホの創作姿勢に深く通じている。彼は夜空の星、畑の労働者、カフェの灯りといった日常の一場面に詩を見出し、それを絵に昇華しようと試みた。しかし彼にとっても、それは常に試行錯誤と苦悩の連続だった。自然の中にある詩情を捉え、そこに自らの心を重ねるという行為は、単なる再現ではなく、精神的な翻訳行為であった。
現代においても、多くの人が美しい光景や感動的な瞬間に心を打たれるが、それを表現することの難しさに直面する。この名言は、感動を感じ取る力と、それを他者と分かち合える形で表す力との間にある大きな隔たりを教えてくれる。だからこそ、真に心を打つ芸術や詩は稀有であり、それを生み出す行為には尊い価値があるのである。
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