「耳を傾けるべきは画家たちの言葉ではなく、自然の言葉である。物そのものへの感覚こそが重要であり、絵への感覚よりも現実への感覚のほうが大切なのだ」

フィンセント・ファン・ゴッホの名言
フィンセント・ファン・ゴッホの名言
  • 1853年3月30日~1890年7月29日
  • オランダ出身
  • 画家、素描家
  • ポスト印象派を代表する画家として知られ、生前は無名であったが、死後に評価が高まり、近代絵画に多大な影響を与えた。『ひまわり』や『星月夜』などの作品で世界的に知られている。

英文

”It is not the language of painters but the language of nature which one should listen to, the feeling for the things themselves, for reality is more important than the feeling for pictures.”

日本語訳

「耳を傾けるべきは画家たちの言葉ではなく、自然の言葉である。物そのものへの感覚こそが重要であり、絵への感覚よりも現実への感覚のほうが大切なのだ」

解説

この言葉は、芸術の本質とは技巧や理論ではなく、現実に対する感受性に根ざすべきであるという強い信念を示している。芸術家同士の語りや流派の理屈に囚われるのではなく、自然そのものの姿や息づかいに真摯に向き合い、そこから感じ取ったものを表現すべきという主張である。現実(reality)を感じる力が、芸術の出発点であるべきだというこの考えは、創作の根本を問い直すものである。

この思想は、実際の風景や人物を観察しながら、その内面や精神的本質を描こうとしたゴッホの制作姿勢に直結する。彼は自然や労働者の日常といった「現実」から強いインスピレーションを得ており、印象派の洗練された技巧や当時の流行よりも、自らの目と心で感じた自然の色と形を優先した。つまり、彼にとって芸術とは、自然と心の対話の結果として生まれるものであった

現代においても、形式や流行に流されがちな表現活動の中で、この名言は「本当に見るべきは何か」を問う原点の言葉として響く。対象そのもののリアリティに感応することが、最も深く人間に届く芸術を生むという視点は、創作者だけでなく鑑賞者にとっても、真の感動を得るための鍵となる。絵を描くことは、絵を描くために自然を見るのではなく、自然を見るために絵を描くことなのだ。

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