「ひどく宗教を――あえてそう言おう――宗教を求める気持ちに駆られたとき、私は外に出て星を描くのだ」

フィンセント・ファン・ゴッホの名言
フィンセント・ファン・ゴッホの名言
  • 1853年3月30日~1890年7月29日
  • オランダ出身
  • 画家、素描家
  • ポスト印象派を代表する画家として知られ、生前は無名であったが、死後に評価が高まり、近代絵画に多大な影響を与えた。『ひまわり』や『星月夜』などの作品で世界的に知られている。

英文

”When I have a terrible need of – shall I say the word – religion. Then I go out and paint the stars.”

日本語訳

「ひどく宗教を――あえてそう言おう――宗教を求める気持ちに駆られたとき、私は外に出て星を描くのだ」

解説

この言葉は、芸術が宗教に代わる精神的な慰めと崇高な体験になり得ることを示している。「宗教」という言葉をためらいながらも使うことで、形式的な信仰というよりも、内なる救いや宇宙的な意味を求める切実な感情が伝わってくる。そしてそのとき、彼は教会ではなく、夜空と星という自然の神秘のもとへ赴き、それを描くことで心を癒す。ここには、創作と自然観照が祈りに近い行為であるという芸術家ならではの感受性が表れている。

この感覚は、『星月夜』をはじめとする夜空の作品に強く反映されている。ゴッホは宗教家の家庭に育ち、一時は牧師を志したが挫折し、やがて絵画によって人間や世界の本質に迫ろうとした。彼にとって、星を描くことは神に触れようとする試みであり、芸術は祈りの延長であった。夜空を仰ぎ、そこに自らの魂を投影することで、彼は自分の「宗教」を持ったのである。

現代においても、多くの人が宗教的な枠組みにとらわれず、芸術や自然、哲学を通じて精神的な安らぎや意味を求めている。この名言は、創作そのものが人間にとっての信仰行為になり得ることを伝えている。静かに星を見上げ、それを描くという行為にこそ、言葉を超えた宗教的体験が宿るのである。

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