「指導者が自らの運命を大きく左右できるとは、私は思わない。歴史の流れが別の方向に進んでいるときに、それを変えることなど、ほとんどできないのだ」

リチャード・ニクソンの名言
リチャード・ニクソンの名言
  • 1913年1月9日~1994年4月22日
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治家、弁護士、第37代アメリカ合衆国大統領
  • 外交政策において米中関係の正常化やソ連とのデタントを進めたが、ウォーターゲート事件により辞任した初の大統領としても知られている。冷戦期アメリカ政治の象徴的人物である。

英文

“I don’t think that a leader can control, to any great extent, his destiny. Very seldom can he step in and change the situation if the forces of history are running in another direction.”

日本語訳

「指導者が自らの運命を大きく左右できるとは、私は思わない。歴史の流れが別の方向に進んでいるときに、それを変えることなど、ほとんどできないのだ」

解説

この発言は、歴史と個人の力の関係について語った、ニクソンの深い歴史観と現実主義的な政治哲学を表している。彼は、いかに権力を持った指導者であっても、歴史の大きな潮流には逆らえず、時にその波に呑まれることすらあるという厳しい認識を示している。これは、自らが経験した冷戦、ベトナム戦争、そしてウォーターゲート事件など、巨大な歴史的力に直面したリーダーとしての実感でもある。

注目すべきは、「the forces of history(歴史の力)」という表現である。これは、個人の意志や行動を超えた、経済、社会、国際関係などの複雑な構造的要因を指しており、それらが動き出したとき、指導者がそれに抗うのは極めて困難であるという、謙虚かつ冷徹な見解である。また、「very seldom(非常に稀に)」という慎重な言い回しからも、英雄的指導者像に対する懐疑がにじんでいる

この名言は、現代のリーダーたちにも通じる警鐘である。個人のカリスマやリーダーシップだけで歴史を動かせるという幻想を排し、現実の制約と複雑な状況認識の必要性を教えてくれる。ニクソンのこの言葉は、力の限界を知った者だけが語れる、謙虚で成熟した指導者の本音として、深い示唆を持つ名言である。

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