「大統領がそれを行えば、それは違法ではないということになる」

- 1913年1月9日~1994年4月22日
- アメリカ合衆国出身
- 政治家、弁護士、第37代アメリカ合衆国大統領
- 外交政策において米中関係の正常化やソ連とのデタントを進めたが、ウォーターゲート事件により辞任した初の大統領としても知られている。冷戦期アメリカ政治の象徴的人物である。
英文
“When the President does it, that means that it’s not illegal.”
日本語訳
「大統領がそれを行えば、それは違法ではないということになる」
解説
この発言は、1977年に放送されたインタビュー番組「デイビッド・フロスト・インタビュー」において、ウォーターゲート事件に関する議論の中でリチャード・ニクソンが語った最も論争的な言葉のひとつである。彼は、大統領職にある者が国家の安全や利益のために下す判断は、通常の法的枠組みでは裁けない、あるいはそれ自体が合法となるという見解を示しており、これは権限の範囲と法の支配に関する根源的な問いを投げかけるものとなった。
中心となるのは、「that means that it’s not illegal(それは違法ではないことを意味する)」という断定的な構文である。この言葉は、大統領権限の絶対性や、行政府の行動が法を超越しうるという考え方を内包しており、これに対しては法学者・政治家・市民の間で強い批判が巻き起こった。なぜなら、民主主義国家における「法の下の平等」という原則と明確に矛盾するからである。
この名言は、現代においても、国家権力の限界や行政の透明性、リーダーの責任のあり方を巡る議論において頻繁に引用される。ニクソンのこの発言は、歴史的には「権力者の傲慢さ」の象徴とされる一方で、非常時における権限行使の是非という実践的課題への問題提起ともなっており、民主主義におけるリーダーシップと法の境界を問う、極めて挑戦的な名言である。
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