「公人は決して忘れてはならない。政策ではなく、自分という個人が問題の中心になったとき、彼はその有用性を失うのだ」

- 1913年1月9日~1994年4月22日
- アメリカ合衆国出身
- 政治家、弁護士、第37代アメリカ合衆国大統領
- 外交政策において米中関係の正常化やソ連とのデタントを進めたが、ウォーターゲート事件により辞任した初の大統領としても知られている。冷戦期アメリカ政治の象徴的人物である。
英文
“A public man must never forget that he loses his usefulness when he as an individual, rather than his policy, becomes the issue.”
日本語訳
「公人は決して忘れてはならない。政策ではなく、自分という個人が問題の中心になったとき、彼はその有用性を失うのだ」
解説
この発言は、公人としての本質的な責任とは、人格や私生活ではなく、提案する政策とその成果に焦点を当てさせることであるというニクソンの信念を示している。リーダーが注目されるとき、その議論が政策内容ではなく個人攻撃やスキャンダルに移ってしまえば、本来の使命が失われ、政治的な正当性も揺らぐという警鐘が鳴らされている。
特に重要なのは、「he loses his usefulness(彼は有用性を失う)」という一節である。これは、政治家としての価値や信頼性が、自らの人間性ではなく、国家や市民に対して何を成し遂げたかによって測られるべきであるという、実務的かつ理念的な視点に立っている。また「becomes the issue(彼自身が争点となる)」という表現は、政治の本筋から逸脱し、個人の人格に焦点が当たる危険性を鋭く指摘している。
現代においても、メディアやSNSの発達により、政策よりも政治家本人の言動がクローズアップされる傾向が強まっている。この名言は、本質的な政策論議を忘れがちな社会への警鐘であり、健全な民主主義の運営に不可欠な視点を示している。ニクソンのこの言葉は、政治的リーダーシップの焦点をどこに置くべきかという根源的な問いに応える名言である。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?