「アメリカ史の中で、ベトナム戦争ほど誤解された出来事はない。当時は誤って報じられ、今では誤って記憶されている」

- 1913年1月9日~1994年4月22日
- アメリカ合衆国出身
- 政治家、弁護士、第37代アメリカ合衆国大統領
- 外交政策において米中関係の正常化やソ連とのデタントを進めたが、ウォーターゲート事件により辞任した初の大統領としても知られている。冷戦期アメリカ政治の象徴的人物である。
英文
“No event in American history is more misunderstood than the Vietnam War. It was misreported then, and it is misremembered now.”
日本語訳
「アメリカ史の中で、ベトナム戦争ほど誤解された出来事はない。当時は誤って報じられ、今では誤って記憶されている」
解説
この発言は、ベトナム戦争に対する歴史的評価と報道のあり方について、ニクソンが抱いていた深い不信と不満を率直に表現したものである。ニクソン政権下で戦争の終結が模索されたものの、戦争の実態とアメリカ政府の対応は国内外で激しく批判され、メディアの報道も政治的立場によって大きく偏向していたと彼は認識していた。
中でも重要なのは、「misreported(誤って報じられ)」と「misremembered(誤って記憶されて)」という過去と現在をつなぐ批判的な視点である。これは、当時のマスメディアが戦争の複雑さを正確に伝えず、また後世においても単純化されたイメージや政治的立場によって記憶が歪められているという、歴史の扱いに対するニクソンの強い問題意識を示している。
この名言は、現代における歴史の記述と報道の責任、そして集団記憶の形成の危うさを考える上でも重要な視座を提供する。ニクソンのこの発言は、戦争の正当性や戦略の成否を超えて、歴史が誰によって、どのように語られるかという問いを突きつける警句であり、情報社会に生きる私たちにもなお響く、深い意味を持った名言である。
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