「国民は、自分たちの大統領が不正を働く人間かどうかを知る必要がある。だが私は悪党ではない。自分が手にしたものはすべて、自分の力で得たものだ」

リチャード・ニクソンの名言
リチャード・ニクソンの名言
  • 1913年1月9日~1994年4月22日
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治家、弁護士、第37代アメリカ合衆国大統領
  • 外交政策において米中関係の正常化やソ連とのデタントを進めたが、ウォーターゲート事件により辞任した初の大統領としても知られている。冷戦期アメリカ政治の象徴的人物である。

英文

“People have got to know whether or not their president is a crook. Well, I’m not a crook. I earned everything I’ve got.”

日本語訳

「国民は、自分たちの大統領が不正を働く人間かどうかを知る必要がある。だが私は悪党ではない。自分が手にしたものはすべて、自分の力で得たものだ」

解説

この発言は、1973年11月17日、ウォーターゲート事件の渦中にあったリチャード・ニクソンがフロリダ州オーランドでの記者会見で述べた有名な一言である。「I’m not a crook(私は悪党ではない)」という強い否定は、アメリカ国民の間に広まりつつあった不信感に対する直接的な反応であり、ニクソンの政治的・道義的防衛の象徴ともなった。

注目すべきは、「People have got to know(人々は知る必要がある)」という民主主義的な認識と、それに続く「I earned everything I’ve got(私はすべて自分の努力で手に入れた)」という自己正当化の対比である。ニクソンはここで、自身が不正行為によって利益を得たのではなく、正当な努力と実績によって築いてきた人生であることを強調した。しかし、この発言自体が国民の疑念を払拭することはできず、逆に「I’m not a crook」という言葉は皮肉にも不正の象徴として歴史に刻まれることとなった

現代においても、政治家の誠実さと説明責任、そして公的地位と私的利益の関係は、あらゆる民主国家で問われ続けている。ニクソンのこの言葉は、リーダーが国民の信頼を失ったとき、どれほどの言葉を尽くしてもそれが逆効果になりうることを示す教訓であり、政治における透明性と信頼の根幹を問い直す名言として記憶されている。

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