「カストロは、ソ連がトイレに5セント硬貨を入れてやらなければ、用も足せなかっただろう」

- 1913年1月9日~1994年4月22日
- アメリカ合衆国出身
- 政治家、弁護士、第37代アメリカ合衆国大統領
- 外交政策において米中関係の正常化やソ連とのデタントを進めたが、ウォーターゲート事件により辞任した初の大統領としても知られている。冷戦期アメリカ政治の象徴的人物である。
英文
“Castro couldn’t even go to the bathroom unless the Soviet Union put the nickel in the toilet.”
日本語訳
「カストロは、ソ連がトイレに5セント硬貨を入れてやらなければ、用も足せなかっただろう」
解説
この発言は、冷戦期の地政学的状況とキューバのソ連依存体制を、皮肉かつ辛辣なユーモアで語ったニクソンの特徴的な表現である。フィデル・カストロ政権下のキューバは、経済・軍事の両面でソビエト連邦に大きく依存しており、特に1960年代以降は事実上ソ連の衛星国的存在として機能していた。ニクソンはこの現実を、「トイレでさえソ連の支援がなければ使えない」と誇張することで、キューバの自主性の欠如を嘲笑した。
この比喩には、経済的独立の欠如と政治的従属を露骨に強調する意図がある。「nickel in the toilet(トイレに5セント硬貨)」という言い回しは、当時のコイン式公衆トイレを連想させる風刺的表現であり、キューバが自国の基本的な運営すら自立して行えなかったという批判を滑稽に包み込んでいる。これはニクソンのレトリックに特徴的な、攻撃的でありながら聴衆に強烈な印象を残す語り口である。
現代の国際政治においても、大国に依存する小国の立場はしばしば議論の的となる。ニクソンのこの発言は、国家主権とは単に独立を宣言することではなく、実質的な自立と運営能力が伴って初めて成立するという冷徹な現実を突いており、外交と経済援助の力学を風刺的に描いた歴史的名言として記憶されている。
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