「ひどい風刺画や社説のせいで新聞の購読をやめたことは一度もない。もしそんなことをしていたら、読む新聞も雑誌も一つもなくなっていただろう」

- 1913年1月9日~1994年4月22日
- アメリカ合衆国出身
- 政治家、弁護士、第37代アメリカ合衆国大統領
- 外交政策において米中関係の正常化やソ連とのデタントを進めたが、ウォーターゲート事件により辞任した初の大統領としても知られている。冷戦期アメリカ政治の象徴的人物である。
英文
“I’ve never canceled a subscription to a newspaper because of bad cartoons or editorials. If that were the case, I wouldn’t have any newspapers or magazines to read.”
日本語訳
「ひどい風刺画や社説のせいで新聞の購読をやめたことは一度もない。もしそんなことをしていたら、読む新聞も雑誌も一つもなくなっていただろう」
解説
この発言は表現の自由と寛容さの重要性を説くものである。リチャード・ニクソンのような政治家にとって、新聞や雑誌の報道、特に風刺や批判的な社説はしばしば痛烈であった。にもかかわらず、彼はこの発言によって、批判に耐える度量こそが民主主義の根幹であるという姿勢を示している。自身に都合の悪い意見を排除しようとするのではなく、それも含めてメディアの役割を尊重すべきであるという認識がうかがえる。
ここで重要なのは、「もしそんなことをしていたら、読む新聞も雑誌も一つもなくなっていただろう」という皮肉的な含意である。これは、完全に自分に都合の良いメディアは存在しないという現実を指摘し、異なる視点に触れることの価値を強調している。批判を恐れてメディアを避けることは、情報の偏りと閉鎖性を招く危険性がある。
現代のSNS時代においても、同様の問題が存在する。気に入らない意見をシャットアウトする「エコーチェンバー」や「キャンセル文化」は、健全な議論を損ねる可能性がある。ニクソンのこの発言は、多様な意見に触れることが成熟した市民社会の条件であることを示唆するものであり、今日でもその意義は失われていない。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?