「国家が存在する限り自由は存在せず、自由が存在する時には国家は存在しない」

- 1870年4月22日~1924年1月21日
- ロシア帝国出身
- 革命家、政治理論家、弁護士、国家指導者
- ロシア革命を主導し、ソビエト連邦の建国者として知られる。マルクス主義を実践的に展開し、20世紀における共産主義運動の象徴的存在となった。
英文
”When there is state there can be no freedom, but when there is freedom there will be no state.”
日本語訳
「国家が存在する限り自由は存在せず、自由が存在する時には国家は存在しない」
解説
この言葉は、レーニンの1917年の著作『国家と革命』において明確に述べられている理念であり、マルクス主義国家理論の根幹をなす一節である。レーニンはこの中で、国家とは階級支配のための暴力装置であり、それ自体が自由を制限するものであると定義づけている。したがって、真の自由が実現される社会では、階級が消滅し、それとともに国家も不要となるというのが彼の論理であった。
この思想は、国家を永続的な制度ではなく、階級社会に特有の一時的な構造として捉える視点に基づいている。社会主義段階ではプロレタリアートによる国家が一時的に存在するが、やがて階級対立が解消されると、国家も役割を終えて「自然に消滅する」(ウィザリング・アウェイ)とされる。この過程こそが、社会主義から共産主義への移行であり、レーニンの描く歴史的必然であった。
現代においてもこの名言は、自由と統治、支配と自治の関係を問う政治思想の根幹的命題として取り上げられる。たとえば、市民的自由を保障しつつも、国家による監視や統制が強化される状況において、「自由のための国家」がいつの間にか自由を制限する存在になっていないかという問いを投げかける。この発言は、自由とは国家に「与えられる」ものではなく、国家を超えた社会関係の中で実現されるべきものであるという、レーニンの急進的かつ理想主義的な政治哲学を象徴している。
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