「中世の自然哲学に基づいた錬金術は、一方では過去のグノーシス主義へ、他方では未来の無意識の近代心理学へと架け橋を築いた」
- 1875年7月26日~1961年6月6日
- スイス出身
- 精神科医、心理学者
- 分析心理学を創始し、元型や集合的無意識の概念を提唱した
英文
“Grounded in the natural philosophy of the Middle Ages, alchemy formed a bridge: on the one hand into the past, to Gnosticism, and on the other into the future, to the modern psychology of the unconscious.”
日本語訳
「中世の自然哲学に基づいた錬金術は、一方では過去のグノーシス主義へ、他方では未来の無意識の近代心理学へと架け橋を築いた」
解説
この名言は、ユングが錬金術を心理学的な象徴体系として捉えた視点を示している。彼は、錬金術が単なる古代の化学的実験ではなく、人間の精神や心の変容を象徴的に表現したものと考えた。錬金術の目的である「卑金属を黄金に変える」という過程は、心理学における自己実現や個性化プロセスに通じるものであるとユングは見なした。
ユングはまた、錬金術がグノーシス主義(内なる知識や精神的な啓示を重視する思想)と心理学を結ぶ存在であると考えた。錬金術の象徴や図像には、無意識の深層にある元型や精神的な成長のプロセスが反映されている。彼は、これを近代心理学の無意識の概念と結びつけ、錬金術が人間の内面的な変容と統合のプロセスを理解するための重要な資料となることを示した。
現代において、この名言は、過去の哲学や象徴体系を単なる歴史的な遺物と見なさず、それらが現在の心理学や精神の探求において依然として価値を持つことを思い起こさせる。ユングの視点は、錬金術が心の深層を探るための象徴的な地図であり、それを通じて人間の精神的成長を理解しようとする試みであることを教えている。この架け橋は、古代と現代、無意識と意識、個人と宇宙を結びつけるものとして、現在でも深い洞察を与える。
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