「私は何百人もの患者を治療してきた。その中で、人生の後半、すなわち35歳を超えた患者たちにおいて、最終的な問題が人生に対する宗教的な見方を見出すことでなかった者は一人もいなかった」

カール・グスタフ・ユング
カール・グスタフ・ユングの名言
  • 1875年7月26日~1961年6月6日
  • スイス出身
  • 精神科医、心理学者
  • 分析心理学を創始し、元型や集合的無意識の概念を提唱した

英文

“I have treated many hundreds of patients. Among those in the second half of life – that is to say, over 35 – there has not been one whose problem in the last resort was not that of finding a religious outlook on life.”

日本語訳

「私は何百人もの患者を治療してきた。その中で、人生の後半、すなわち35歳を超えた患者たちにおいて、最終的な問題が人生に対する宗教的な見方を見出すことでなかった者は一人もいなかった」

解説

この名言は、ユングが心理学において「宗教的な見方」を非常に広義に捉え、人生の意味や目的を見つけることの重要性を説いたものである。彼は、人生の後半に入った人々にとって、物質的な成功や外的な目標では満たされない内的な探求が必要になると考えた。ここで言う「宗教的な見方」とは、必ずしも特定の宗教への帰依を意味せず、むしろ人生を包括的に理解しようとする精神的な枠組みを指している。

ユングは、人生の前半(若年期)においては、社会的地位の確立や外的な成功が中心となるが、中年以降は内的な成長と自己理解が重要になると主張した。多くの患者が中年期の危機や虚無感に苦しむ中で、ユングはその根本に「人生の目的を見失った状態」があることを発見した。これを克服するには、個人が自己の深層と向き合い、人生に対する包括的な意味を見つけることが必要である。

現代において、この名言は特に重要な示唆を与える。中年期のキャリアや家族の問題、老いに対する不安などが、個人を根源的な問いに向き合わせる時期である。このような危機に直面したとき、精神的な枠組みを通じて自分の存在や人生の意味を再構築することが求められる。ユングの言葉は、こうしたプロセスが中年以降の精神的健康と幸福に不可欠であることを教えている。

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