「1915年以前は、空間と時間は出来事が起こる固定された舞台と考えられており、その中で起こることによって影響を受けることはないとされていた。しかし、空間と時間は現在、動的な量とされている。空間と時間は宇宙で起こるすべてのことに影響を与えるだけでなく、それによっても影響を受けるのだ」

スティーヴン・ホーキング
スティーヴン・ホーキングの名言
  • 1942年1月8日~2018年3月14日
  • イギリス出身
  • 理論物理学者、サイエンス・ライター
  • ブラックホールの特異点定理やホーキング放射を発表し、また著作『宇宙を語る』などで科学の普及に貢献した

英文

“Before 1915, space and time were thought of as a fixed arena in which events took place, but which was not affected by what happened in it. Space and time are now dynamic quantities… space and time not only affect but are also affected by everything that happens in the universe.”

日本語訳

「1915年以前は、空間と時間は出来事が起こる固定された舞台と考えられており、その中で起こることによって影響を受けることはないとされていた。しかし、空間と時間は現在、動的な量とされている。空間と時間は宇宙で起こるすべてのことに影響を与えるだけでなく、それによっても影響を受けるのだ」

解説

この発言は、スティーヴン・ホーキングがアインシュタインの一般相対性理論による空間と時間の新しい概念を説明したものである。1915年に発表された一般相対性理論は、空間と時間を固定的な背景としてではなく、宇宙におけるエネルギーや質量によって影響を受ける「動的なもの」として再定義した。この革新的な視点は、宇宙に対する理解を根本的に変えるものだった。

「空間と時間は固定された舞台」という考え方は、ニュートン力学の伝統的な世界観を指している。ニュートンの時代では、空間と時間は普遍的で不変のものとされており、物理現象の舞台となる背景として捉えられていた。

一方、「空間と時間は動的な量」という表現は、アインシュタインの一般相対性理論の核心を反映している。この理論によれば、空間と時間は重力場によって曲がり、エネルギーや質量がその性質を変化させる。例えば、ブラックホールの周辺では時空が大きく歪むことや、宇宙の膨張が空間そのものの変化を意味していることが、この理論の応用例である。

ホーキングは、この新しい理解が宇宙における物質とエネルギー、時空との相互作用を説明する上でいかに重要であるかを強調している。空間と時間が宇宙の出来事に影響を与え、同時にそれらから影響を受けるという相互関係は、宇宙論や重力理論を研究する上での基本的な前提となっている。

この発言は、科学の進化によって宇宙の理解がどのように深まったかを示すものであり、科学史における画期的な転換点を象徴している。同時に、物理学がどのようにして宇宙の本質に迫り続けているのかを考えるきっかけを提供する言葉である。

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