「宇宙に始まりがあるのなら、創造主が存在すると考えることができるだろう。しかし、もし宇宙が完全に自己完結していて、境界や端がないとしたら、始まりも終わりもないことになる。では、その場合、創造主の居場所はどこにあるのだろうか?」

スティーヴン・ホーキング
スティーヴン・ホーキングの名言
  • 1942年1月8日~2018年3月14日
  • イギリス出身
  • 理論物理学者、サイエンス・ライター
  • ブラックホールの特異点定理やホーキング放射を発表し、また著作『宇宙を語る』などで科学の普及に貢献した

英文

“So long as the universe had a beginning, we could suppose it had a creator. But if the universe is really completely self-contained, having no boundary or edge, it would have neither beginning nor end: it would simply be. What place, then, for a creator?”

日本語訳

「宇宙に始まりがあるのなら、創造主が存在すると考えることができるだろう。しかし、もし宇宙が完全に自己完結していて、境界や端がないとしたら、始まりも終わりもないことになる。では、その場合、創造主の居場所はどこにあるのだろうか?」

解説

この発言は、スティーヴン・ホーキングが宇宙の起源と創造主の概念についての哲学的な問いを提起したものとして有名である。彼は、宇宙が自己完結的なシステムであり、境界も始まりも終わりも持たない可能性を示唆する「境界条件のない宇宙」理論を基に、この問いを考察している。

「宇宙に始まりがあるのなら、創造主が存在すると考えることができる」という部分は、宇宙の起源を説明する従来の宗教的視点を踏まえたものである。多くの宗教や哲学では、宇宙の始まりは神や創造主による行為と結びつけられてきた。この視点は、ビッグバン理論が宇宙の始まりを科学的に説明しようとする試みとも共鳴している。

一方で、「もし宇宙が完全に自己完結していて、境界や端がないとしたら」という仮定は、ホーキングとジェームズ・ハートルによる「境界条件のない宇宙」モデルに基づく。このモデルでは、虚時間を用いて宇宙の始まりを特異点ではなく滑らかな状態として描写し、宇宙が時間的にも空間的にも自己完結した存在であることを提案している。この考えによれば、宇宙には「始まり」や「外部の干渉者」が必要なくなる。

「創造主の居場所はどこにあるのだろうか?」という問いは、宇宙の起源を神や超越的な存在に結びつける必要性を再考させるものである。ホーキングは、神の存在を否定するのではなく、宇宙の仕組みを科学的に説明することが、創造主という概念の役割をどのように変えるのかを問うている。

この発言は、科学と宗教、哲学の交差点にある深い問いを象徴している。ホーキングの視点は、宇宙の起源や本質を探る科学の力を示すと同時に、人間がその存在をどのように意味づけるかという哲学的な問いを投げかけている。

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