「神とは、人々が私たちがここにいる理由に与える名前である。しかし、私はその理由が誰かとの個人的な関係を持つ存在ではなく、物理法則であると考えている。非人格的な神だ」
- 1942年1月8日~2018年3月14日
- イギリス出身
- 理論物理学者、サイエンス・ライター
- ブラックホールの特異点定理やホーキング放射を発表し、また著作『宇宙を語る』などで科学の普及に貢献した
英文
“God is the name people give to the reason we are here. But I think that reason is the laws of physics rather than someone with whom one can have a personal relationship. An impersonal God.”
日本語訳
「神とは、人々が私たちがここにいる理由に与える名前である。しかし、私はその理由が誰かとの個人的な関係を持つ存在ではなく、物理法則であると考えている。非人格的な神だ」
解説
この発言は、スティーヴン・ホーキングが神と科学の関係についての考え方を述べたものである。彼は、神を宇宙の存在理由やその背後にある法則に関連付ける一方で、伝統的な宗教的な神観念を否定し、物理法則がそれに取って代わるものであると考えていた。
「人々が私たちがここにいる理由に与える名前」という表現は、神という概念が人間の存在や宇宙の起源を説明するためのシンボルとして用いられてきたことを指している。しかし、ホーキングは、宇宙の存在理由やその仕組みを説明する鍵は、宗教的な神ではなく、科学的な物理法則にあると信じていた。ここで言う「物理法則」とは、一般相対性理論や量子力学、さらには統一理論(Theory of Everything)などを含むものである。
「非人格的な神」という表現は、スピノザ哲学の「自然神」やデイヴィッド・アインシュタインが語った「宇宙の調和を支配する法則」に近い考え方である。これは、宇宙の秩序や法則性に畏敬の念を抱きながらも、それを人格的な存在として捉えない立場である。ホーキングは、宇宙を支配する法則そのものに美しさや神秘性を見出しており、それを「神」として表現したに過ぎない。
この発言は、科学的探究が宗教や哲学と交差する地点を示しており、宇宙の根本的な問いに対する新しい視点を提供している。ホーキングの考え方は、科学が提供する答えを超えた領域に足を踏み入れる一方で、宗教的な信念と矛盾するものではなく、むしろそれを再解釈する形で発展させたものである。この言葉は、宇宙や存在の本質について考えるための深い洞察を提供している。
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