「ビッグバンから残された放射線は、電子レンジの中の放射線と同じ種類のものだが、はるかに弱い。それではピザをマイナス271.3℃に温めるだけで、解凍はおろか調理にも全く役に立たないだろう」

スティーヴン・ホーキング
スティーヴン・ホーキングの名言
  • 1942年1月8日~2018年3月14日
  • イギリス出身
  • 理論物理学者、サイエンス・ライター
  • ブラックホールの特異点定理やホーキング放射を発表し、また著作『宇宙を語る』などで科学の普及に貢献した

英文

“The radiation left over from the Big Bang is the same as that in your microwave oven but very much less powerful. It would heat your pizza only to minus 271.3°C – not much good for defrosting the pizza, let alone cooking it.”

日本語訳

「ビッグバンから残された放射線は、電子レンジの中の放射線と同じ種類のものだが、はるかに弱い。それではピザをマイナス271.3℃に温めるだけで、解凍はおろか調理にも全く役に立たないだろう」

解説

この発言は、スティーヴン・ホーキングが宇宙背景放射(CMB:Cosmic Microwave Background)についてユーモアを交えながら説明したものである。宇宙背景放射は、ビッグバンの名残として現在も宇宙全体に存在している電磁波であり、その温度は絶対零度(−273.15°C)に非常に近いマイナス約271.3°C(約2.7ケルビン)である。

「電子レンジと同じ種類の放射線」という部分は、宇宙背景放射がマイクロ波の領域にある電磁波であることを指している。電子レンジでは、このマイクロ波が食物中の水分子を振動させて熱を発生させるが、宇宙背景放射のエネルギーは非常に弱いため、その影響は極めて小さい。この例えを使うことで、ホーキングは宇宙背景放射の性質を一般の人々にも分かりやすく伝えている。

また、「ピザをマイナス271.3℃に温める」という表現は、ホーキングのユーモアセンスを反映している。専門的で難解なテーマを親しみやすく伝える彼の能力は、多くの人々に科学への関心を抱かせる一因となった。この軽妙な説明は、科学的事実と日常的な経験を結びつけることで、物理学の抽象的な概念を具体的で興味深いものにしている。

この発言は、科学が複雑な現象を解明するだけでなく、日常生活との接点を見出し、親しみやすく説明する力を持つことを示している。ホーキングの言葉は、宇宙の始まりやその名残について考えるきっかけを与えるとともに、科学を楽しむことの重要性を教えてくれる。

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