「1965年にアーヴィング・グッドが気付いたように、超人的な知能を持つ機械は、さらに自らの設計を繰り返し改良することができ、それがヴァーナー・ヴィンジが『シンギュラリティ』と呼んだ現象を引き起こす可能性がある」
- 1942年1月8日~2018年3月14日
- イギリス出身
- 理論物理学者、サイエンス・ライター
- ブラックホールの特異点定理やホーキング放射を発表し、また著作『宇宙を語る』などで科学の普及に貢献した
英文
“As Irving Good realised in 1965, machines with superhuman intelligence could repeatedly improve their design even further, triggering what Vernor Vinge called a ‘singularity.’”
日本語訳
「1965年にアーヴィング・グッドが気付いたように、超人的な知能を持つ機械は、さらに自らの設計を繰り返し改良することができ、それがヴァーナー・ヴィンジが『シンギュラリティ』と呼んだ現象を引き起こす可能性がある」
解説
この発言は、スティーヴン・ホーキングが人工知能(AI)の進化とその潜在的な影響について語ったものである。彼は、AIが自己改良を繰り返す能力を持つことで、制御不能な技術的進化—「技術的特異点(シンギュラリティ)」—に至る可能性を指摘している。
アーヴィング・グッドが1965年に提唱した「知能爆発」の概念は、超人的知能を持つ機械が自身を改良し、さらなる知能の向上を加速させるフィードバックループを形成するという考えに基づいている。このプロセスは人間の制御を超え、予測不能な結果をもたらす可能性がある。
ヴァーナー・ヴィンジが1980年代に用いた「シンギュラリティ」という用語は、この現象をさらに発展させ、技術の進歩が非常に急速に進むために人間の理解や予測を超える時点を指している。シンギュラリティが起これば、AIは人類の知能をはるかに凌駕し、人間社会に根本的な変化をもたらす可能性がある。
ホーキングは、このようなシナリオを警戒し、AIの発展がもたらすリスクに備える必要性を強調していた。AIがもたらす潜在的な利点を認めつつも、その進化がもたらす危険性に対処するための倫理的、法的枠組みを確立する必要性を提唱した。
この発言は、AIがもたらす可能性とリスクの両面を見据え、技術の進化に対する責任ある姿勢を求めるメッセージである。ホーキングの視点は、AI研究の方向性やその社会的影響を考える上で、現代においても極めて重要な示唆を提供している。
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