「私たちの心はリアルタイムで機能している。それはビッグバンから始まり、もしビッグクランチが起これば終わるだろう。しかし、最近の加速膨張を示すデータからすると、それは今では起こりそうにない。意識は特異点で終わりを迎えるだろう」
- 1942年1月8日~2018年3月14日
- イギリス出身
- 理論物理学者、サイエンス・ライター
- ブラックホールの特異点定理やホーキング放射を発表し、また著作『宇宙を語る』などで科学の普及に貢献した
英文
“Our minds work in real time, which begins at the Big Bang and will end, if there is a Big Crunch – which seems unlikely, now, from the latest data showing accelerating expansion. Consciousness would come to an end at a singularity.”
日本語訳
「私たちの心はリアルタイムで機能している。それはビッグバンから始まり、もしビッグクランチが起これば終わるだろう。しかし、最近の加速膨張を示すデータからすると、それは今では起こりそうにない。意識は特異点で終わりを迎えるだろう」
解説
この発言は、スティーヴン・ホーキングの時間、宇宙、そして意識に関する哲学的かつ科学的な見解を反映している。彼は、心の働きを時間という物理的枠組みの中で捉え、宇宙の起源と終焉が意識の存在に深く関連していることを示唆している。ここでいう「リアルタイム」とは、私たちの意識が物理的な時間の流れに依存しているという考え方を指している。
「ビッグクランチ」とは、宇宙の膨張が逆転し、すべての物質とエネルギーが一点に収束する仮説である。しかし、ホーキングは加速膨張を示す観測データに基づき、このシナリオが現実的ではないと述べている。むしろ、宇宙は膨張を続け、その結果として極度に冷たく暗い「熱的死」に向かう可能性が高い。この場合、物理的な時間とそれに伴う意識の働きも最終的には消失するだろう。
「特異点で意識が終わる」という表現は、物理法則が通用しなくなる極限状態における人間の知覚と存在の限界を指している。ホーキングは、特異点(ブラックホールの中心や宇宙の始まりのような地点)が時間と空間の終焉を意味し、意識そのものもそれに従属するという考えを提起している。この発言は、宇宙論だけでなく、意識の哲学的・科学的理解に対する挑戦をも包含しており、私たちが宇宙の運命と自らの存在をどのように捉えるべきかを問いかけている。
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