「中庸——あらゆるものにおける真実——はもはや知られもせず、価値も持たれていない。拍手喝采を得るには、手回しオルガンでも演奏できるほどに無意味なものを書くか、理性ある者には理解できないほどに難解なものを書く必要があるが、まさにそのために好まれるのである」
- 1756年1月27日~1791年12月5日
- ザルツブルク(オーストリア)出身
- 作曲家
- 『フィガロの結婚』や『ドン・ジョヴァンニ』、『魔笛』など数多くの名作を残した
英文
“The happy medium – truth in all things – is no longer either known or valued; to gain applause, one must write things so inane that they might be played on barrel-organs, or so unintelligible that no rational being can comprehend them, though on that very account, they are likely to please.”
日本語訳
「中庸——あらゆるものにおける真実——はもはや知られもせず、価値も持たれていない。拍手喝采を得るには、手回しオルガンでも演奏できるほどに無意味なものを書くか、理性ある者には理解できないほどに難解なものを書く必要があるが、まさにそのために好まれるのである」
解説
この名言には、モーツァルトが音楽と芸術における中庸と真実の欠如に対して感じていた不満が表れている。彼は、音楽が本来の真実や価値から遠ざかり、単純すぎて無意味なものか、難解すぎて理解されないもののどちらかに偏ってしまっている現状を嘆いている。この言葉には、彼が「真実」と「中庸」を大切にし、人々にとっての音楽の意義が失われつつあることへの失望がうかがえる。
当時の音楽界では、聴衆の好みに合わせて単純な音楽を提供することが一般的であった一方、複雑で高度な音楽も一部の知識層に求められていた。モーツァルトは、そのどちらにも迎合せず、本物の芸術を追求していたため、このような流行に対して批判的な視点を持っていた。この名言には、彼が音楽の深い意義と真実を守り続けたいという強い意志が感じられる。
現代においても、この名言は芸術の本質を失わないことの重要性を教えている。モーツァルトのように真実を探求し、流行に流されずに自らの価値観に基づく作品を生み出すことが、真に長く愛される芸術の根底にあるといえる。彼の言葉は、時代や流行に左右されず、作品に真実と価値を見出すことの大切さを私たちに伝えている。
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