「どの時代にもその時代特有の詩がある。歴史の状況は、その時代ごとに、詩によってのみ表現され、超越される状況を創り出し、それを担う国、民族、階級を選ぶ」
- 1905年6月21日~1980年4月15日
- フランス出身
- 哲学者、小説家、劇作家
- 実存主義を提唱し、『存在と無』や『嘔吐』を通じて20世紀思想に大きな影響を与えた
英文
“Every age has its own poetry; in every age the circumstances of history choose a nation, a race, a class to take up the torch by creating situations that can be expressed or transcended only through poetry.”
日本語訳
「どの時代にもその時代特有の詩がある。歴史の状況は、その時代ごとに、詩によってのみ表現され、超越される状況を創り出し、それを担う国、民族、階級を選ぶ」
解説
この名言は、サルトルが詩と歴史の関係について述べたものである。彼は、詩が単なる文学の一形式にとどまらず、特定の時代や状況でしか表現できない深い感情や思想を具現化する力を持つと考えている。歴史の変革期や困難な状況において、詩はその時代の象徴となり、社会的、政治的な感情を直接的でかつ超越的に表現する手段となる。サルトルは、時代が特定の国や民族、あるいは階級に託す使命やメッセージが詩によって体現されると考え、この表現が人間の意識を超越する力を持つことを示している。
また、この言葉は詩の力と社会的役割を強調している。詩は単なる個人の表現ではなく、歴史的な現実や時代の精神を反映し、理解する手段としても機能する。詩によってのみ表現できる状況とは、言葉や理論で説明しきれない感情や精神であり、それを言語化することで人々に強い共感を呼び起こす。サルトルは、詩が特定の時代や社会階層に特有の状況や思考を共有し、人々を結びつける普遍的な力を持つと考えている。
さらに、この名言は、芸術の普遍性と時代性についての洞察を与える。詩は時代に応じた表現でありながらも、その内容は人々にとって普遍的なメッセージや感情を内包している。サルトルは、詩が一時的な状況や社会的制約を超え、人間の本質的な感情や精神を伝えるための手段であると考えており、詩を通じて時代の苦悩や喜びが表現され、人間の意識を拡張する力があると説いている。この考えは、詩や芸術が持つ重要性を再認識し、社会や時代と深く結びついているというサルトルの信念を示している。
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