「人は、いずれ失うものをまだ持ち、これからなるものをすでに持っている。人は自らの死を生き、また自らの生を死ぬ」

ジャン=ポール・サルトル
ジャン=ポール・サルトルの名言
  • 1905年6月21日~1980年4月15日
  • フランス出身
  • 哲学者、小説家、劇作家
  • 実存主義を提唱し、『存在と無』や『嘔吐』を通じて20世紀思想に大きな影響を与えた

英文

“One is still what one is going to cease to be and already what one is going to become. One lives one’s death, one dies one’s life.”

日本語訳

「人は、いずれ失うものをまだ持ち、これからなるものをすでに持っている。人は自らの死を生き、また自らの生を死ぬ」

解説

この名言は、サルトルが存在と変化、そして生と死の一体性について述べたものと解釈される。彼は、人間の存在が常に変化の中にあり、現在の自分が過去の自分から失うものと未来の自分へと向かうものの両方を含んでいると考えた。つまり、人は絶え間ない変化の過程にあり、現在は過去と未来が交わる瞬間であるとする視点が込められている。

また、この言葉には生と死の境界が曖昧であることが示唆されている。サルトルは、生きている限り死の可能性と隣り合わせであり、死がまた生の一部であると考えた。生きることは、常に自らの終わりと向き合う行為であり、死を遠ざけることはできないが、その事実が生きることの意味を形作る要素となっている。このようにして、人は生の中で死を経験し、逆に死もまた生の一部として存在するという生死一体の視点が示されている。

さらに、この名言は、時間と存在の相互関係についても考えさせられる。人間は今という瞬間に存在するものの、過去と未来の両方に影響を受けており、絶え間なく自己を作り上げ続けている。サルトルの言葉は、時間がもたらす変化と、その変化に対して自分がどう生きていくかを自覚することの重要性を示している。生と死を統合的に捉え、自己の有限性と可能性を見つめることが、真の意味での生きるという行為に深みをもたらすというメッセージが込められている。

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