「彼女は何も信じていなかった。彼女を無神論者にしなかったのは、ただその懐疑心だけだった」

ジャン=ポール・サルトル
ジャン=ポール・サルトルの名言
  • 1905年6月21日~1980年4月15日
  • フランス出身
  • 哲学者、小説家、劇作家
  • 実存主義を提唱し、『存在と無』や『嘔吐』を通じて20世紀思想に大きな影響を与えた

英文

“She believed in nothing; only her skepticism kept her from being an atheist.”

日本語訳

「彼女は何も信じていなかった。彼女を無神論者にしなかったのは、ただその懐疑心だけだった」

解説

この名言は、サルトルが懐疑心と信仰の複雑な関係について述べたものと解釈される。彼は、彼女が何も信じないにもかかわらず、完全な無神論者になりきれない理由を懐疑心に求めている。ここでの「懐疑心」は、単に神の存在を否定するだけではなく、何もかもに対して疑問を持ち続ける姿勢を指している。このため、無神論に傾倒しすぎることもなく、あらゆる可能性を常に疑いながらも完全に否定できないという状況を表している。

この名言は、信仰や無神論の固定観念から離れた視点を提供している。通常、無神論者は神の存在を否定し、信仰に懐疑的な立場を取る。しかし、彼女は何かを信じることがないほどに懐疑的であり、逆にその徹底した懐疑心が無神論に対しても距離を保たせている。サルトルはここで、信仰と無神論のいずれにも属さない、徹底した中立的懐疑の立場を示唆している。この考え方は、単なる否定ではなく、物事を絶えず探求し続ける姿勢の重要性を反映している。

さらに、この言葉は、懐疑心がもたらす自由な思考を強調している。何も信じない態度によって、彼女は特定の立場にとらわれず、自己の信念を持たずにいられる自由を持っている。サルトルの言葉は、信仰や無神論に固執するのではなく、疑問を持ち続けることで自己を解放する姿勢の価値を示しており、真の自由とは固定観念や信念からの解放にあるというメッセージが込められている。

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