「少し離れると、楽器や声の高い音が聞こえない。会話をしていても、それに気づかない人がいるのも無理はない。私は普段からぼんやりしていると思われているので、そう解釈されているのだ」

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの名言
  • 1770年12月16日~1827年3月26日
  • ドイツ(神聖ローマ帝国)出身
  • 作曲家、ピアニスト
  • 代表作には「第9交響曲」「月光ソナタ」「運命交響曲」などがあり、古典派からロマン派への橋渡しを果たし、音楽史に多大な影響を与えた

英文

”When somewhat at a distance, I cannot hear the high tones of instruments, voices. In speaking, it is not surprising that there are people who have never noticed it, for as a rule I am absent-minded, and they account for it in that way.”

日本語訳

「少し離れると、楽器や声の高い音が聞こえない。会話をしていても、それに気づかない人がいるのも無理はない。私は普段からぼんやりしていると思われているので、そう解釈されているのだ」

解説

この言葉には、ベートーヴェンが難聴による孤独や誤解を抱えていたことが表されている。彼は高音が聞こえにくく、距離があると会話の内容が分からないことが多かった。しかし、周囲の人々はそれに気づかず、彼の難聴を単なる「ぼんやりしている性格」と解釈することが多かった。彼はその状況に孤独を感じつつも、自分の不自由さに対して表立って説明することなく、内に秘めていた苦悩がここに現れている。

この言葉は、障害に対する他者の理解の難しさをも示唆している。ベートーヴェンは難聴の影響で他人の言葉が聞こえにくく、相手がそれに気づかないことで誤解が生じていた。彼のような偉大な芸術家でさえ、自らの障害について理解を得るのが難しかったことは、現代でも多くの人が障害や弱さに対する理解を求める難しさを感じているという現実に通じる。この言葉は、他人の事情や苦労を見逃さないこと、他者に対して配慮と理解を持つことの重要性を思い起こさせる。

また、この言葉には、自己を守るための沈黙も感じられる。ベートーヴェンは難聴について詳しく説明することを避け、あえて「ぼんやりしている」と思われることに甘んじていたようだ。彼にとって、難聴という現実に対処するための一つの防衛策でもあったのかもしれない。このように、彼は自らの弱さを隠しながらも、音楽への情熱を失わずに生き続けた。この言葉は、困難を抱えつつも他者の視線を気にせず自分の道を貫く姿勢を示している。

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