「私は喜びをもって死に向かう。もし私がすべての芸術的能力を発揮する前に死が訪れるなら、それは私の辛い運命にもかかわらず、早すぎることになるだろうし、遅く訪れてほしいと思うだろう。しかし、それでも私は幸せだ。死は私を終わりなき苦しみから解放してくれるのではないか」
- 1770年12月16日~1827年3月26日
- ドイツ(神聖ローマ帝国)出身
- 作曲家、ピアニスト
- 代表作には「第9交響曲」「月光ソナタ」「運命交響曲」などがあり、古典派からロマン派への橋渡しを果たし、音楽史に多大な影響を与えた
英文
”I joyfully hasten to meet death. If it come before I have had opportunity to develop all my artistic faculties, it will come, my hard fate notwithstanding, too soon, and I should probably wish it later – yet even then I shall be happy, for will it not deliver me from a state of endless suffering?”
日本語訳
「私は喜びをもって死に向かう。もし私がすべての芸術的能力を発揮する前に死が訪れるなら、それは私の辛い運命にもかかわらず、早すぎることになるだろうし、遅く訪れてほしいと思うだろう。しかし、それでも私は幸せだ。死は私を終わりなき苦しみから解放してくれるのではないか」
解説
この言葉は、ベートーヴェンが抱えていた深い苦しみと、それにもかかわらず彼が持ち続けた芸術への情熱を表している。難聴をはじめとする多くの障害が彼を取り巻き、日常的な活動すらも困難にしたが、それでも彼は芸術を追求する意欲を失わなかった。彼にとって、すべての芸術的能力を発揮することが人生の最も重要な使命であり、完成できずに死を迎えることは無念であると感じていたのだ。
この言葉は、芸術家の宿命とも言える内面の葛藤をも示唆している。ベートーヴェンは限界を超えた創造の追求に喜びを見出していたが、その道のりには大きな苦しみが伴った。それでも、彼は芸術のために生き、苦しみさえもその創作の原動力としていた。現代においても、自己表現や夢の実現のために困難を乗り越える覚悟が必要であり、ベートーヴェンの姿勢はその意志の強さを教えてくれる。
また、この言葉には死と解放に対する深い哲学が含まれている。終わりなき苦しみから解放されることを、彼は一つの救いと考えていた。生きる苦しみがどれほど大きくても、彼は創作を続けることを選び、やがて自らが望む形でこの世を去ることができれば、それで満足であると感じていた。これは、逆境の中でも前を向くことの意義を再確認させられる言葉でもあり、私たちがどのように苦しみと向き合うかを考えさせてくれる。
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