「長期間にわたって無差別に本を批評することは、非常に報われず、苛立たしく、疲れる仕事である。それは、くだらない本を称賛するだけでなく、何の自発的な感情も湧かない本に対して反応を作り出さなければならないことを意味する」
- 1903年6月25日~1950年1月21日
- イギリス植民地時代のインド出身
- 作家・ジャーナリスト
- 代表作「1984年」や「動物農場」を通じて全体主義や権力の乱用に対する鋭い批判を展開し、現代文学と思想に大きな影響を与えた
英文
“Prolonged, indiscriminate reviewing of books is a quite exceptionally thankless, irritating and exhausting job. It not only involves praising trash but constantly inventing reactions towards books about which one has no spontaneous feeling whatever.”
日本語訳
「長期間にわたって無差別に本を批評することは、非常に報われず、苛立たしく、疲れる仕事である。それは、くだらない本を称賛するだけでなく、何の自発的な感情も湧かない本に対して反応を作り出さなければならないことを意味する」
解説
この名言は、書評家や批評の仕事に対するオーウェルの苦言を表している。彼は、無差別に、すべての本に対して書評を書くことがいかに大変で、しばしば不本意な感情を表現しなければならない仕事であるかを指摘している。特に、内容の乏しい本を称賛したり、興味のない本に対して何らかの反応を創り出したりすることは、知的誠実さの面で苦痛を伴うと考えている。このようなレビュー活動には、無理に感想を作り出し、表面上の感情を装う必要があるため、精神的な負担が大きい。
この現象は、現代におけるレビュー文化やメディアの中にも見られる。レビューを生業とする人々は、質の低いコンテンツにも関心を持っているふりをし、さまざまな意見を表現しなければならないことがある。このような仕事は、表現の自由や批評の本質を損なう危険がある。特に、量産的で無差別なレビューは、批評の質や価値を低下させ、真に良い作品や重要なテーマに対する関心を薄れさせる可能性がある。
オーウェルの言葉は、批評の役割とその誠実さについての重要な指摘をしている。批評の本質は、真に感動や考察を呼び起こす作品に対して深い洞察を提供することにあり、無理に感情を創り出すことではない。この名言は、批評において率直で正直な感想がいかに大切であり、真に評価すべき作品に対する真摯な態度の必要性を再認識させるものである。
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