「我々は、マキアヴェリや他の者たちに多大な恩を負っている。彼らは人々が『なすべきこと』ではなく、『実際にしていること』について書いた」
- 1561年1月22日~1626年4月9日
- イングランド出身
- 哲学者、神学者、法学者、政治家、貴族
- 近代科学の基礎を築く「帰納法」を提唱し、またイギリス経験主義の祖として後世に影響を与えた
英文
“We are much beholden to Machiavel and others, that write what men do, and not what they ought to do.”
日本語訳
「我々は、マキアヴェリや他の者たちに多大な恩を負っている。彼らは人々が『なすべきこと』ではなく、『実際にしていること』について書いた」
解説
フランシス・ベーコンのこの名言は、人間の現実の行動や本音を描くことの意義を説いている。彼は特にマキアヴェリのような思想家を称賛しており、彼らが人間の理想像ではなく、実際の行動や現実的な選択について記したことに感謝を表している。「あるべき姿」ではなく「あるがままの姿」を記録することによって、現実的な人間理解が深まり、そこから学ぶことができると考えている。
マキアヴェリの『君主論』は、現実主義的な政治思想の象徴であり、理想的な君主のあるべき姿ではなく、実際に君主がどのように振る舞い、権力を維持するべきかについての冷徹な分析を行っている。ベーコンもまた、このように人間の現実的な側面に焦点を当てることで、本当の知識や洞察を得られると考えた。つまり、理想論や道徳的な「べき論」にとどまらず、現実の中での人間の行動を理解することが、社会や政治、そして自己認識において非常に価値があるという見解である。
この考え方は、現代においても重要な視点である。多くの理想論や倫理規範が語られる一方で、現実的な人間の行動や選択はしばしば異なる。例えば、ビジネスの場では「正しいこと」をするべきだと理想論が語られるが、現実的には利益や競争が優先されることが多い。こうしたギャップを理解することで、実際にどのように行動すべきか、または問題に対処するべきかの現実的な解決策を見出す手がかりとなる。
ベーコンの言葉は、我々に理想だけを追うのではなく、人間の実際の姿から学ぶ必要性を強調している。人々がどう振る舞うべきかだけではなく、現実にどう振る舞っているかを観察し、理解することで、本当の意味での成長と洞察が得られる。
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