「中国政府は、チベットが何世紀にもわたって中国の一部であったと言うよう私に求めている。しかし、たとえ私がその発言をしたとしても、多くの人はただ笑うだけだろう。そして私の発言によって過去の歴史が変わることはない。歴史は歴史である」

- 1935年7月6日~
- チベット出身
- 宗教指導者、仏教僧、チベット亡命政府の元首相・精神的指導者
英文
”The Chinese government wants me to say that for many centuries Tibet has been part of China. Even if I make that statement, many people would just laugh. And my statement will not change past history. History is history.”
日本語訳
「中国政府は、チベットが何世紀にもわたって中国の一部であったと言うよう私に求めている。しかし、たとえ私がその発言をしたとしても、多くの人はただ笑うだけだろう。そして私の発言によって過去の歴史が変わることはない。歴史は歴史である」
解説
この言葉は、ダライ・ラマ14世が歴史の事実と政治的圧力の区別を明確にした発言である。中国政府がチベットを自国の一部として正当化しようとする一方で、彼は歴史は権力者の都合で書き換えられるものではなく、事実として独立した存在であることを強調している。ここで示されているのは、歴史的真実は政治的発言では覆せないという確固たる立場である。
背景には、1950年の中国人民解放軍によるチベット侵攻とその後の中国支配がある。中国はチベットが歴史的に自国の一部であると主張してきたが、ダライ・ラマはその正当性に異議を唱え、亡命政府を通じてチベットの独自性を訴えてきた。この発言は、国際社会に対しても、歴史を操作しようとする政治的試みに抗する姿勢を示すものである。
現代においても、この名言は歴史と政治の関係を考える上で重要な意味を持つ。権力によって歴史が書き換えられようとする場面は世界各地で見られるが、真実は発言や宣伝ではなく、事実そのものに基づく。したがって、この言葉は、歴史を尊重することが民族の尊厳を守る基盤であることを教えているのである。
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