「私は現代の教育制度について常にこう考えてきた。知能の発達には注意を払うが、思いやりの心の育成については当然のこととして軽視されているのだ」

- 1935年7月6日~
- チベット出身
- 宗教指導者、仏教僧、チベット亡命政府の元首相・精神的指導者
英文
”I have always had this view about the modern education system: we pay attention to brain development, but the development of warmheartedness we take for granted.”
日本語訳
「私は現代の教育制度について常にこう考えてきた。知能の発達には注意を払うが、思いやりの心の育成については当然のこととして軽視されているのだ」
解説
この名言は、現代教育の偏りに対する根源的な問題提起である。ダライ・ラマ14世は、人間の知的能力を伸ばすこと自体を否定しているわけではない。むしろ、知性と倫理、知識と感情のバランスこそが真の教育の目的であるべきだという考えを示している。「brain development(知能の発達)」への過剰な注目に対して、「warmheartedness(思いやり)」の軽視を対比させている点が、この名言の核心である。
「take for granted(当然のものとして扱う)」という表現は、道徳的・感情的成長が自然に身につくものだという誤った前提に対する警鐘を鳴らしている。実際には、思いやりや共感といった人間的資質も、意識的な育成と実践によって養われるべきものである。知識と技術だけでは、人類は進歩しても幸福にはならない。倫理的感受性を伴わない知性は、ときに破壊的な力にもなりうる。
この名言は、教育者や保護者だけでなく、社会全体に対しても、「人を育てる」とは何かを根本から問い直す視点を与える。思いやりと知性をともに育む教育こそが、平和で持続可能な未来を築く土台であるという、普遍的かつ実践的なメッセージがここに込められている。
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